「フェア」とは何か?
の件、著者(ふろむだ氏)は市場で決まる価格が「フェア」な価格だとします。しかし、これは広く合意された基準ではありません。
もちろん、古典経済学に基づくミクロ経済学では、完全競争が最も効率的で、競争が阻害されると「死荷重」が生じるとされています。しかし、「効率的*1」と「フェア」は全く異なる概念です。
手元にある「マンキュー経済学 第3版」では、「フェア」という語は一度しか登場しません*2。あくまでミクロ経済学は数学的な解を出すものであって、フェア/アンフェアといった価値判断には与しないという立ち位置を示しています。
ではその唯一の登場は何かというと、価格硬直性のところに出てきます。
価格硬直性の諸仮説
・暗黙の契約
顧客へ「フェア」であるためなど,暗黙に価格の安定に同意する
と使われています。まさにふろむだ氏が出した雪の日のスコップの例です。また、カギカッコでくくってある点からわかるように、経済学の範囲外の概念であることを明確にしています。
ということで、世間一般の「フェア」は経済学でいう「効率的」なこととイコールではありません。例えば国際フェアトレード基準における「フェアトレード」の定義では、市場価格に対して「持続可能な生産と生活に必要な価格を保証する*3」といった定義がなされています。