「スマホゲームで位置把握か」の件

当局が実際にゲーム会社から取得していれば、問題性の高い取り扱いと言える

引用元:スマホゲームで位置把握か 捜査にGPS利用可能性 - 共同通信 | This Kiji

 

と記事にはありますが、現行法令上は適法な取り扱い*1だと考えます。電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインでは、

 

電気通信事業者は、捜査機関からの要請により位置情報の取得を求められた場合においては、裁判官の発付した令状に従うときに限り、当該位置情報を取得することができる。

引用元:電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン

 

とあるとおり、電気通信事業者である「携帯電話会社」は裁判所の令状が必要とされていますが、電気通信事業者ではないゲームアプリの提供会社にはそのような義務は課されていません。

なお、位置情報は個人情報とされているので、個人情報保護法の対象にはなります。ですが、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)では、

 

法令に基づく場合は、法第16条第1項又は第2項の適用を受けず、あらかじめ本人の同意を得ることなく、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことができる。
事例1)警察の捜査関係事項照会に対応する場合(刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第197条第2項)

引用元:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)

 

とあるように、警察の捜査関係事項照会に対応する形で(本人の同意なく)情報開示できることになっています。

ということで、現行法令では、携帯電話会社・アプリ会社・捜査当局ともに、現在の取り扱いは適法である、と言えます。

つまり、

という強弱関係になっているということですね。 

*1:国会による立法ではなく、行政が決めた「ガイドライン」に過ぎないので、実際に裁判として争われた場合の司法機関の判断を拘束するものではありません。さらに言えば、現行法令上適法=真に問題性のない取り扱い、とも限りません。